HOME > 婦人科・産科 > 子宮脱について コラム 診療概要 強い生理痛と過多月経 妊婦検診と4D超音波撮影 胎児スクリーニングについて 不妊症、不妊治療について 月経周期の変更 避妊と中絶 更年期障害 各種検診について 子宮頸がんの検診と予防ワクチン よくあるご質問(FAQ) メール(深見和之院長宛) 更年期障害 血管運動神経の症状、つまり、ホットフラッシュ(ほてり、発汗、動悸)が、更年期障害のおもな症状です。夜間に起これば、睡眠障害にもなります。萎縮性膣炎による性交障害も問題です。更年期女性の80%に起こるといわれていますが、治療を必要とするほど重症になるのは、そのうちの20〜30%といわれています。 治療は、女性ホルモン補充療法が著効します。通常は、エストロゲンとプロゲステロンを用い、手術して子宮のない方は、エストロゲンのみを補充します。 剤形は、経口剤、経皮剤(貼付薬、塗布薬)経膣剤があります。 性交障害だけの方は、膣剤がおすすめです。 血栓症(冠動脈疾患、脳卒中、深部静脈血栓症)、乳癌のリスクが少し上がると言われていますが、重症の更年期障害があれば許されるリスクとされています。膣剤には、上記リスクはありません。経口剤に比べて経皮剤のほうが血栓症のリスクが少ないとされていますが、経皮剤でかぶれる方もあり、その場合、経口剤を選んでも大きな問題はありません。 投与期間は、5年程度が、ひとつの目安ですが、70代まで、更年期障害の続く方もあり、 患者様個別個別に考ていきます。一生続けることもあっていいと思います。 女性ホルモン依存性の癌(乳癌、子宮体癌など)の既往のある方、血栓症の既往のある方、女性ホルモンを使いたくない方には、原則、女性ホルモン補充療法はできません。 SSRIs/SNRIs(抗うつ剤の1種)、ガバペンチン(抗てんかん薬の1種)、クロニジン(降圧薬)、オキシブチニン(過活動膀胱治療薬)などの治療を試みることができます。 強い更年期障害でお悩みの方、是非ご相談ください。 ●閉経後、外陰部痛、おりもの、性交痛などでお悩みの方へ 閉経後、女性ホルモンの分泌低下で、上記の症状が起きることがあります。 女性ホルモン補充療法で改善が期待できますが、乳癌、血栓症のリスクが少し上がります。 女性ホルモンの入った膣剤を使うと局所のみで効くので、副作用が起きません。 最初14日間毎日寝る前に膣剤を膣内に挿入していただき、その後、週2回の挿入で良い状態が保てます。特に副作用はありません。 お困りの方は、一度ご相談下さい。 ●更年期障害の薬について 更年期障害のホルモン補充療法で、天然型黄体ホルモン(エフメノ)が処方可能になりました。 従来の合成黄体ホルモンに比べて、乳がん、狭心症、心筋梗塞のリスクが減るといわれています。 順次、お薬の変更をお勧めします。 ●女性ホルモン補充療法の利益とリスク ○エストロゲン – プロゲステロン併用療法(50歳から59歳で治療を開始) : 無治療の女性と比較したときの女性1000人当たりの5年間の追加のリスクまたは利益 ・冠動脈心臓疾患 - 2.5人増加(リスク増) ・浸潤性乳がん - 3人増加(リスク増) ・脳卒中 - 2.5人増加(リスク増) ・肺塞栓症 - 3人増加(リスク増) ・直腸癌大腸癌 - 0.5人減少(利益増) ・子宮内膜癌 - 増減なし(リスクも利益もない) ・大腿骨骨折 - 1.5人減少(利益増) ・あらゆる原因による死亡率 - 5人減少(利益増)  ○エストロゲン単独療法(50歳から59歳で治療を開始。子宮摘出した女性に行なった。) : 無治療の女性と比較したときの女性1000人当たりの5年間の追加のリスクまたは利益 ・冠動脈心臓疾患 - 5.5人減少(利益増) ・浸潤性乳がん - 2.5人減少(利益増) ・脳卒中 - 0.5人減少(利益増) ・肺塞栓症 - 1.5人増加(リスク増) ・直腸癌大腸癌 - 0.5人減少(利益増) ・大腿骨骨折 - 1.5人増加(リスク増)(注:あらゆる骨粗しょう症性骨折でみると骨折率は減少する。) ・あらゆる原因による死亡率 - 5.5人減少(利益増) コメント:いずれの場合もホルモン補充療法したほうが、あらゆる原因の死亡率が減少しています。上記のデータは抱合型エストロゲンとメドキシプロゲステロンを用いた場合のデータで、当院でも採用している経皮的投与による天然型エストロゲンと天然型黄体ホルモンを用いた場合には、肺塞栓症のリスク、冠動脈心臓病のリスク、乳がんのリスクがより減少すると考えられます。 つらい更年期の症状があれば、女性ホルモン補充療法はよく効き、上記のリスクと引き合うと考えます。 (up to date, WHIデータより)
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